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RO創作『鉛の柄の剣士』

 今回も、前回に続きROのショートストーリーを書いてみる。
 今回の主役は、ロイヤルガードのレドンヒルト。
 その名前の由来に関する話。

 勿論、キャラ作成して名前を付けるときにそんな事を考えていた訳ではなく、「一体何があったらこんな名前を名乗るんだ」と後付けで考えた設定なので、内容が非常に纏まりの無いものになったが、取り敢えず形に出来たのでアップする。



「あっ、ナイト様、クルセイダー様。こんにちは!」

 プロンテラ大聖堂前。
 市内巡回中のナイトと、門前を警備中のクルセイダーは立ち話を中断し、明朗な声の方へと目を向ける。

 そこには、弾けんばかりの笑顔を浮かべて勢いよく手を振る、跳ねっ毛のある赤髪をした少年の姿があった。

「んっ? おお、今日も元気が良いな」
 ナイトはその姿を認めると、笑みと手振りを返した。
「やあ。こんにちは」
 クルセイダーは直立不動のままであったが、軽く口元を緩めて挨拶を返した。

 2人とも、大聖堂の孤児院で暮らす子供達と大体の面識がある。
 明るく活発なこの少年の事も、当然よく見知っていた。

「今日も冒険ごっ……冒険に出掛けるのかい?」
 クルセイダーは、少年の手に、粗く削られた木の棒が握られているのに目を向け、尋ねる。
「うん! 行って来る! あ! ナイト様! 見て見て! 上手く出来たでしょ!」
 少年は頷いてクルセイダーに応えると、ナイトの方に向かい、自慢気な様子で棒の持ち手を突き出す。
 そこは、鈍く黒ずんだ光沢を湛え、剣の鍔を模して左右に伸びた形をしていた。
「おっ! すげえじゃねえか。良く出来てるな」
「これは……鉛だね? 君が作ったのかい?」
 感心したような声を上げるナイトと、顔を近付けてよくよく眺めるクルセイダー。
 
「この間、ナイト様に剣の鍔を見せてもらってね。
 それを赤土に押し込んで、棒を挿し込んで、融かした鉛を流して作ったんだ!」
「用事があって、固まる前に離れちまったが。立派に出来てて何よりだぜ」
「成る程。そうやって作ったのか。
 ……うん。見事な出来だ。一人前の冒険者……剣士の様だよ」
 経緯を話す少年と、補足するナイトの言を聞いて、クルセイダーは頷いて笑みを見せる。
「ほんと!?」
 クルセイダーの世辞を受け、少年は声を弾ませる。

「鉛の柄(Leaden Hilt)のソードマン……剣士レドンヒルト、だな」
「レドンヒルト?」
 鸚鵡返しに聞き返す少年に、ナイトは大きく頷いた。
「ああ、そうだ。向かう所敵なしの凄腕剣士レドンヒルト。
 その剣の柄の輝きを見たら、怪物も悪党も、みんなブルって逃げ出しちまうのさ」
「剣士、レドンヒルト……」
 少年の想像が拡がり、形作られて行く。
 勇敢にして強靭。幾多もの戦いを潜り抜けた剣士のイメージが固まり、少年は頭上に棒を突き上げた。

「やあやあ、我こそは、剣士レドンヒルトだ! 命の惜しくない奴は、掛かって来い!」
「あははははは! 良いぞ! 剣士レドンヒルト!」
「剣士レドンヒルト。プロンテラの平和は君に掛かっているぞ」
 無敵の剣士になり切った少年の名乗りに、ナイトとクルセイダーは手を叩いて囃し立てた。

「えへへ……」
 少年は褒めそやされて気分を良くし、棒を掲げたまま満面の笑みを浮かべていた。

 それから数刻後。

「……もうそろそろ、帰らなくっちゃ」
 少年は、輝きを緩めて傾く太陽を眺め、呟きながら立ち上がった。

 棒を振りかざしながら、プロンテラの外周をひたすら走り回っていた。
 先刻からの少年の行動を観察している者がいたら、ほぼ間違いなくその様に判断するだろう。

 しかし、少年本人の認識は少々異なる。
 少年の中では、勇敢な剣士レドンヒルトが華々しい冒険を繰り広げていた。
 そして、雄々しく戦いに身を投じ、数多くの怪物や魔王を討伐したのだった。

「あっ、おーい。今帰るとこ?」
「一緒に帰ろうよ」
 大聖堂に向かって歩く少年は、声を掛けられた方を振り返る。
 そこには、少年と同じく孤児院で暮らす年少の遊び友達が2人。少年の方に駆け寄る姿があった。

「どこ行ってたの?」
「河原。水晶を拾いに行ってたんだ」
「一昨日雨が降ったでしょ? きっと石がいっぱい流れて来て、拾えるって思ったんだ」
 追い付いて来て並ぶ遊び友達に少年が尋ねると、2人はにっかりと笑顔で応えた。
「水晶? へえー。僕も見に行ってみようかな」
「うん。明日一緒に行こうよ」
「まだまだあると思うよ。ほら見てよ。こんなに大きな……うわっと!」

 少年に水晶を見せようとした遊び友達は地面の窪みに蹴躓き、バランスを崩して転倒した。
 その拍子に、手から石が転げ落ち、夕陽をキラキラと反射しながら、地面を転がった。

「あいってー……」
「何やってんだよー」
 ぼやき声交じりで立ち上がるのを呆れ気味に横目で見つつ、もう1人の遊び友達が水晶を拾いに行く。

 そのとき、

 茂みを掻き分ける音がした直後、少年達の前に、何かが飛び出してきた。

 その姿を見た瞬間、少年達は一瞬恐怖に凍り付く。
「う、うわああああ!」
「も、モンスターだー!」
 2人の遊び友達は、自分達の方へ真っ直ぐ向かって来る『それ』に、半ば恐慌状態で後ずさった。

「くっ……来るなー!」
 少年は、遊び友達の前に割って入る。
 地面を跳ねて近付いて来る『それ』に棒を向け、精一杯に叫んだ。

「それ以上、近付くなら……。剣士レドンヒルトが相手になるぞ!」

 少年の威嚇もむなしく、『それ』は着実に近付いて来る。
 目も眩む様な恐怖に襲われつつ、何とかそれを堪え。

 少年は、棒を握り締め……。覚悟を決めて、振り被った。

「うわあああああああああ……!」




「……で。当たり前だが、ノービスにもなってない子供の攻撃がポリンに当たる訳が無い。
 思い返せば、きっと恐怖で手が震えていたんだろう。棒は手からすっぽ抜けて飛んで行った。
 ポリンはそれを追い掛けて……もう戻って来なかった」

 パラディン・レドンヒルトは、焚き火から零れ落ちた枯れ枝を足先で蹴転がしつつ、苦笑交じりに語った。
 後進のナイトとクルセイダーが、それぞれにくつろぎながらレドンヒルトの話に興味を向けている。

「つまりレドンヒルトさんは、ガキの頃の冒険ごっこを、そのまま自分で実現させちまったって事かあ」
「お前もうちょっと言い様は無いのか……」
 面白げに相槌を打つナイトを苦々しく咎めるクルセイダー。レドンヒルトは軽く笑い声を立てる。
「まあ、ソードマンになったとき、そんな子供の頃の話など意識していた訳ではないが。
 それでも、目指すものとしてのイメージはあったのだろう」

「しかし、今や剣士どころか転生まで果たしてパラディン様だ。
 ガキの頃の想像なんて、遥かに越えちまったでしょうよ」
「……さて、どうだろうな」
「へえーっ。まだ足りないって? そいつは随分と大それたガキだったんですなあ」
「だから言い方を少しは考えろ……」

「さて、そろそろ良い時間か。最初の見張りは私だ。2人は速やかに休め」
 レドンヒルトは星空を見上げ、深夜が迫っているのを確認すると、雑談を切り上げて命じた。
「了解。お先に失礼します」
「それじゃあ、一寝入りしますかね」
 席を立ち、テントの中へと入り込む2人を横目で見送り、レドンヒルトは焚き火に枯れ枝を足した。

 翌日。

「来たか……情報通りだな」
 レドンヒルトは、乗騎のペコペコを崖上に進ませ、谷間を見下ろした。

 そこに見えるのは、狭い谷間の道を整列して行進する部隊の様子。
 更に付け加えると、それらは人間のものとは異なる、青や緑の皮膚をした戦士達によって構成されていた。

「ハイオークが数名。一部がオークアーチャー。大部分はオークウォリアーか。はん、お気楽なもんだぜ」
「人里に下りて物資の調達という訳か……。思い通りにさせる訳には行かない」
 ナイトとクルセイダーもまた自らのペコペコに跨り、レドンヒルトの左右に控えた。

「行くぞ!」
 レドンヒルトはペコペコを駆り、猛然と急斜面を下る。
 ナイトとクルセイダーも後に続き、騎士の一団は、オークの部隊に向けて、稲光の様に突き進んで行った。

 ハイオークがレドンヒルト達に気付き、怒号を上げる。
 オークアーチャー達が矢を放つも、その射撃は騎士達の進撃を些かも阻む事は出来ない。

「おおおおお……っ!」
 金色の闘気を纏い、レドンヒルトは愛用のハルバードを振りかざす。
 狭い道を行軍中で側面の薄いオーク部隊は、レドンヒルトに容易にハイオークとの交戦を許した。

「グアアッ!」
「ギアァ!」
 目にも止まらない高速の連撃で、ハイオーク達は刺し貫かれ、斬り伏せられ、地面に沈む。

 レドンヒルトの背後では、ナイトとクルセイダーが武器を振るい、分断された前衛のオーク部隊を蹴散らした。
 ナイトの剣がオークウォリアーを吹き飛ばし、周囲を巻き込んで薙ぎ倒す。
 オークアーチャーは矢を番える前に、接近したクルセイダーによって十文字に切り裂かれた。

「フーッ!」
「ゴウ! オウッ!」
 指揮官を失い、自陣が一瞬で崩壊した事に混乱し怖じ気付く、オークの後衛部隊。

 レドンヒルトは後ずさるオークの敗残兵を睥睨し、ハルバードを構え直す。
 そして、大きく息を吸い込んだ。

「我が名は聖騎士レドンヒルト! 我こそと思わん者は前に出よ!」
 
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ファ流シ音

Author:ファ流シ音
 2006年4月、Chaos(現Vali)にて開始。
 それから3年間くらいは転生目指して必死にログインしていた記憶があるが、それから先は現役とも休止とも言えない中途半端な時期を過ごす。
 現在は何やかやでログインが増えて来たので、ブログを書き始めてみた。

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